初回生産限定盤
ESCL 5750〜5751
定価¥4,950(税抜価格¥4,500)
通常盤
定価¥3,300(税抜価格¥3,000)
作詞:YUKI
作曲・編曲:南田健吾 (agehasprings Party)
Programming & All Instruments:南田健吾 (agehasprings Party)
作詞:YUKI
作曲:HALIFANIE
編曲:名越由貴夫
Guitars:名越由貴夫
Fender Bass:fou-toussi
Drums:白根賢一
作詞:YUKI
作曲:村上遼
編曲:名越由貴夫
Guitars:名越由貴夫
Fender Bass:fou-toussi
Drums:白根賢一
作詞:YUKI
作曲:柴田 尚
編曲:久保田真悟 (Jazzin’park), D&H
Guitar, Programming & All Other Instruments:久保田真悟 (Jazzin’park), D&H
作詞:YUKI
作曲・編曲:南田健吾 (agehasprings Party)
Programming & All Instruments:南田健吾 (agehasprings Party)
作詞:YUKI
作曲・編曲:佐藤嘉風, 斎藤渉
Bass:三浦淳悟
Drums:小笠原拓海
Programming & All Other Instruments:佐藤嘉風, 斎藤渉
作詞:YUKI
作曲:成海カズト
編曲:鈴木正人
Guitar:設楽博臣
Bass, piano:鈴木正人
Drums:伊吹文裕
Strings:金原千恵子ストリングス
作詞:YUKI
作曲・編曲:きなみうみ
Guitar:徳差丈太
Keyboard & Bass:きなみうみ
Drum:澤谷拓実
Trumpet:吉澤達彦, 山川永太郎
Trombone:高井天音
Tenor Saxophone:橋本和也
作詞・作曲:峯田和伸
編曲:山本幹宗
Guitar, Programming, Chorus:山本幹宗
Bass:佐藤征史
Drums:BOBO
Organ:西野恵未
Trumpet:中野勇介
Trombone:東條あづさ
Tenor Saxophone:副田整歩
佐藤征史 appears by the courtesy of Victor Entertainment, Inc.
作詞:YUKI
作曲:Eric Palmqwist, Mats Hedstrom
Track produced by Mats Hedstrom
©2023 Silverfox Songs/Soundgraphics Inc., Joy Vision/Soundgraphics Inc.
作詞:YUKI
作曲・編曲:U-Key zone
Programming & All Instruments:U-Key zone
TVアニメ「ダンス・ダンス・ダンスール」OPテーマ
作詞:YUKI
作曲:小形誠
編曲:前田佑
Brass Arrangement:中野勇介
Trumpet:中野勇介
Trombone:鹿討奏
Alto / Tenor Saxophone:大郷良知
Guitar:Taiga (Blue Vintage)
Programming & All Other Instruments:前田佑
Produced by YUKI
Vocal Recorded by 原田しずお (Sony Music Studios Tokyo)
Recorded by南石聡巳 [M2,3], 大西慶明 (prime sound studio form) [M6], 奥田泰次 (studio MSR) [M7],コレナガタクロウ [M8], 宮崎洋一 [M9],
Recorded at Sony Music Studios Tokyo, 青葉台スタジオ, STUDIO ARNEST, prime sound studio, Endhits Studio
Mixed by大西慶明 (prime sound studio form) [M1,4,5,6,10,11,12], 南石聡巳 [M2,3], 奥田泰次 (studio MSR) [M7], コレナガタクロウ [M8], 浦本雅史 (Soi Co.,Ltd) [M9]
Mixed at prime sound studio form, duskline recording studio, ON AIR Okubo Studio, Sony Music Studios Tokyo, studio MSR
Mastered by 阿部充泰 (Sony Music Studios Tokyo) at Sony Music Studios Tokyo
YUKI concert tour “SOUNDS OF TWENTY” 2022
9月19日 札幌・カナモトホール
01. 呪い
02. パレードが続くなら
03. 愛に生きて
04. ティンカーベル
05. 舞い上がれ
06. ヘイ!ユー!
07. ワンダーライン
2023年2月1日、YUKIソロデビュー20周年イヤーのラストを飾る11枚目のオリジナル・アルバム『パレードが続くなら』をリリース。ダンスミュージック、バンドサウンド、極上のポップスと、20年間、YUKIが紡いできた多彩な音楽が、さらに最新の音へと磨きをかけて鳴らされた今作。2022年にリリースした2作のEP収録曲に加え、6曲の新曲が収録されたこのアルバムについて、YUKIが語ってくれました。
── 20周年となる2022年2月から、2枚のEPリリースやソロ20周年の全国ツアーなど、精力的に活動されていましたが、ニュー・アルバム『パレードが続くなら』の制作はいつ頃から始められていたんですか?
YUKI「2021年に行っていた全国ツアー「YUKI concert tour “Terminal G” 2021」の後半ぐらいから、レコーディングに入りました。“Terminal G”のときに、2022年はソロデビュー20周年だから、20周年を迎える2月から2023年2月までのいわゆる記念イヤーの1年を、どうやって過ごそうか、お祝いしようかということを話している中で、20年間の私の音楽、“YUKI”はどういう歌を歌ってきたんだろうということを改めて考えてみたんです」
── そこで何が見えてきたんですか?
YUKI「この20年間は試行錯誤の連続で、どういう楽曲が私に合っていて、どういう歌が私にとって良いもので、どういうことを音楽活動の中でやっていけばいいだろうということの実験をずっとやっているような感じでした。こういう曲をやりたいな、ああいう曲を歌いたいなというものを作ってきていたけれど、結局、“私から見える世界”みたいなものを歌詞にしているので、私は歌詞の制作と歌唱だけで、楽曲は作ってないけれど、そこには“私”が確かにいるということに気がついたんです。今まで作ってきた楽曲の中に、音楽のジャンルや楽曲の性質みたいなものがあるとしたら、私が歌ってきたさまざまな楽曲の進化系が、今の私なら作れるなと思ったんです」
── そこでまず、昨年の5月にリリースされた3曲入りEP『Free & Fancy』、そして、11月にリリースされた3曲入りEP『Bump & Grind』の楽曲を制作されたんですね。
YUKI「『Bump & Grind』のリード曲「My Vision」は、私が今までやっていたようでやっていなかったロックの曲で、今、私ができるバンド・サウンドになっています。そして、アルバム『joy』の制作から始まったハードディスク・レコーディングの最新系が前作『Terminal』だったんですけど、そこからさらに振り切ったダンスミュージックができないかと詰めていったのが『Free & Fancy』に収録されている3曲です。最初は音の波形も読めなくて苦手だったハードディスク・レコーディングでしたけど、今まで培ってきたものが『Terminal』のときに何かひとつ見えたなという確信があったので、そういう楽曲と、ロックンロールでインディーポップな私の2つの面に分けて、EPを2枚出すのは面白いなと思って、そこから始まりましたね。それと同時に全国ツアーでホールとアリーナ公演を開催して、20周年のお祭りにしようというのは決まっていました」
── そのとき、もうアルバムのビジョンはあったんですか?
YUKI「2枚のEPに収録された曲たちが、アルバムに収録されることによってさらに良くなるような曲で周りを固めたいとは思っていましたけど、このEPたちが、自分の中ではアルバムに近いぐらいの完成度で、私としては3曲ずつがそれぞれ完結した1枚になっていたので、これをまたさらに1枚のアルバムとしてまとめるにはどうしたらいいんだろう、どの曲を入れてどの曲を外そうか、と結構考えました。これを考えていた時は20周年のツアー中でもあったんですけど、ツアーをやっていくうちに、これは全部入れるべきだなということに気がついたんです。一昨年、私が20年間の自分を総括するならば、どういう自分なんだろうということを考えたとき、今までの私の延長線上にある何かというのは、このEPの曲たちでできているなと思ったので、このEPの曲たちに準じて作っていけばいいというか。だったら、こういう曲が足りないなとか、YUKIの音楽に不可欠な楽曲を作っていけばいいんだと、このアルバムを作っていく中で考えていきました」
── このアルバムには、これまでのYUKIさんのいろいろな部分が入っていて、しかもそれが最新の音になっていて。“20周年の記念アルバム”という空気感も、そういう楽曲たちから自然に感じられる気がします。
YUKI「2020年の春に、緊急事態宣言で2ヵ月間、全く仕事ができない状態になってしまったんですけど、そこで「歌いたい」「歌詞を書きたい」という欲求が高まって、歌うことこそが私の自由なんだということに気づきました。その、ものすごい反動が前作『Terminal』に詰め込まれて、間奏にも歌詞を付けて全て歌ってしまうぐらい、とにかく歌いたい、というアルバムになったんです。アルバムというのはインプットの時期があって、その間に自分が見聞きしたものが“私”として出てくるので、その見聞きしたものから受けた刺激が私のクリエイションとして出ていくのがオリジナル・アルバムなんです。ということは、去年のツアーを通じて、そこで感じたことが、こういうアルバムになったということですね」
── そういう作り方は、これまであまりないですよね。
YUKI「2006年にリリースした『Wave』というアルバムは少し近いかもしれないですね。『Wave』はその前の年にリリースした『joy』を作った後、そのままの勢いでレコーディングが続いていたんです。その間にツアーもあったんですけど、とにかくもう“なんでもこい”状態だったので、歌をとにかく歌いたかった。ありがたいことに、この主題歌はいかがですか、こういうCMソングをやってみませんか、というふうにタイアップもどんどん決まって、曲がどんどん集まってきて、ずっと曲作りをしていました。アルバムのコンセプトをどうしようと考える余裕もなかったけど、その曲たちを1枚にするんだったらと思って出来たのが『Wave』です」
── 今回のアルバムは、ホール、アリーナを回った全国ツアー26公演で感じた思いがあったからこそ、こういったアルバムが出来たんですね。
YUKI「去年は20周年のお祭りで、この20年間やってこられたことへの感謝の気持ちを持って、各地で「ありがとう」を歌にして、お客様の前できちんと伝えていくというのが目標で、ツアーを滞りなくやること、それを絶対にやり遂げるんだという強い気持ちがありました。その中で感じた、“絶対に良いアルバムを作ってやる”という意地みたいなものは入っていると思います。良い歌詞を書いて、良い歌唱をするのが私の一番の楽しみであり、趣味であり、没頭できる数少ないことのひとつなんです。数少ないというか、私にはこれしかないんだと思います」
── アルバムの1曲目は「パレードが続くなら」です。この曲はアルバム・タイトルにもなっていますね。
YUKI「レコーディングを続けていく中で、なかなかアルバム・タイトルが決まらなかったんですけど、「パレードが続くなら」をアルバムに入れると決めたときに、まだ自分の中でツアーをやっている気持ちが全く抜けていないことに気がついて。「パレードが続くなら」はホールツアーでしか歌っていないんですけど、ホールツアーが終わっても、この曲が出来たときの気持ちがずっと続いていました。それで、アルバムの曲を作っているときにも、この曲がやっぱり今の自分をリードしているなと思って。20周年の締めくくりに「パレードが続くなら」というのはいいなと思いました。あと、「パレード」という言葉からは、楽しいだけではなく、哀愁や切なさ、賑やかだけではない印象を私は受けるんです」
── どこか物悲しさもありますよね。
YUKI「この間、サイエンス雑誌で、生物の死についての特集を読んだんですけど、それを読んでいたら、本当に人生は短いなと思ったんです。死に向かって生きているとわかっているのは人間だけで、パレードというのは、そういうことなのかもしれないなと思ったんです。そこに切なさを感じるというか。例えば、お祭りは神様への感謝の気持ちを込めて歌ったり踊ったりする。神様は楽しいことが好きだから、楽しんでいる人にご褒美が来るんです。日本にもいろいろなお祭りがありますけど、どんなにつらいことや苦しいことがあろうと、どんな状況だろうと、お祭りをする。私のパレードは、それに近いのかもしれません。「YUKI concert tour “Terminal G” 2021」のときも思いましたけど、生演奏で、お客様の前で歌えるのなら、もうなんでもやるぞというか。それができるんだったら我慢も我慢ではないんです」
── まさに『Terminal』から今回のアルバムまでの、一昨年からのYUKIさんの2年間を表す言葉というか。
YUKI「だから、〈私が見ている 素晴らしい世界 あなたに見せたい〉というワードが自分から出てきたことは、とても嬉しいです。自分の人生は楽しいだけではない、つらいことも苦しいことも、全て含めて素晴らしいということなんです」
── アルバム2曲目は、EP『Bump & Grind』に収録されている「タイムカプセル」。YUKIさんならではのロックでパンクな楽曲になっています。
YUKI「「パレードが続くなら」の次が「タイムカプセル」というのは面白いなと思って。これは無意識なんですけど、この曲を2曲目にしたとき、歌詞がこんなに綺麗に繋がるなんて思っていなくて、自分でも驚きました。「パレードが続くなら」という曲は、私の20年間の進化版みたいな曲だと思うんですけど、「タイムカプセル」はその私の20年間を行き来しているような曲で。歌詞を書いているときはそんなことは思っていなかったんですけど。すごく面白いなと思いました」
── これが2曲目にあることで、勢いが出ていますよね。
YUKI「「パレードが続くなら」は助走みたいな感じで、このアルバムを表すプロローグですね。そして、ここから勢いよく始まっていくというイメージです。「タイムカプセル」は、時間軸を行き来している歌なんですけど、それがコーラスみたいに重なっているんです。ギターも5本ぐらい音が重なっているんですけど、すごく気に入っています。ツアーも一緒に回ってくれた名越(由貴夫)くんが、この曲と「My Vision」の全アレンジとプロデュースをやってくれていて。私の中にあるガレージパンクの要素を最新の形にしたいなと思っていたら、名越くんが、こういうギターサウンドにしてくれました」
── その「My Vision」は勢いがあって、最新のYUKIさんのロックという感じがしました。
YUKI「仮タイトルは「リーディンググラス」でした。私ももうリーディンググラスがないと小さな文字が見えなくて、それをたまたまこの曲の歌詞に仮で当てていたんですけど、その仮の詩で歌っていたら、このテーマで深く掘り下げて書けば、ちゃんと1曲として成立するなと思って。それで、歌入れまでに詩を詰めていきました。もっと突き詰めて、もっと面白く、ひとつの詩として完成できないかなと書いていったら、うまくできました。私はずっと視力が良かったので、目が悪くなるということが初めてで、困るというよりも面白いと思ってしまったんです」
── そこからどのように掘り下げていったんですか?
YUKI「これまで、目に見えるもの・見えないものというテーマで歌詞を書いたこともありますし、「はらはらと」という曲でも〈目に見えない物すべて 繋がる無限の環〉と歌っています。視力が弱くなって、リーディンググラスが必要になって面白いと思ったのと同時に、私が見てきた今までの美しい景色や素晴らしい笑顔、そういうものは、目が悪くなっても見えているなと思ったんです。こういう曲が本当に出来たらいいな、詩に落とし込む力があればいいなと、ずっと思っていましたけど、リーディンググラスを思いついて、うまく描くことができました。そして、〈幻のような人生ならば / 霞んでも ぼやけてもいい〉と書いているように、そのぐらいはっきりしない人生だったら、別に見えても見えなくてもどうでもいいのかな、と。でも、君の笑顔だけははっきり見たいんだというのは、すごく素敵だなと思って」
── 次は、EP『Free & Fancy』に収録されている「ハンサムなピルエット」。
YUKI「この曲は、次の「Wild Life」への駆け橋にしたかったんです。サウンドを作ってくれている音楽プロデューサーユニットJazzin’parkの久保田真悟さんは、「Baby, it’s you」のときも一緒に作っている方です」
── そして、ここからアルバムの新曲です。「Wild Life」は、言葉遊びのように楽しそうな風景がくるくると車窓を通り過ぎていくようで、主人公が目に浮かぶような歌詞ですね。
YUKI「これは、プリプロのときに世界が見えて、タイムリープものにしようと思いました。これも歌詞の中で時間が飛ぶんですけど、いろいろと繋がるんですよね。これは、世界の面白い建物の写真集を見ていて、歌詞が出てきました。その本は、素敵な建物やいろいろな鉄道も載っていて、世界中の景色が浮かんできたんです。〈ニューオーリンズ〉は、ちょうどそのときに観ていた映画からですね」
── サウンドはChara+YUKIっぽい感じもあって、ソウルフルでポップですね。
YUKI「確かにChara+YUKIにも合いますね。2番の〈ラクダの背に揺られては数えた星〉のあたりは、もう歌詞の世界に没入しながら書いていました」
── 本当に楽しくなるし、世界旅行しているような、ちょっと不思議な気分にさせてくれます。
YUKI「しかも、モンブランを食べるんです(笑)。山のモンブランに登っていって、そのモンブランを食べていますね。私が好きなのは〈歌舞伎に夢中〉というフレーズ。「♪カーブーキー」というメロディがすごく気に入っています」
── そして、11月にリリースされたEP『Bump & Grind』に収録されている、「Oh!ベンガル・ガール」です。
YUKI「この曲は、レコーディングしているときから早くライブで歌いたくてしょうがなくて、昨年のアリーナツアーでは念願の、ピアノを弾きながら歌うということを初めてしました。
── 「ベンガル」というのは猫の品種ですが、猫の中でもなぜ「ベンガル」が出てきたんですか?
YUKI「デモでは、なんちゃって英語みたいな歌詞だったんですけど、それを聴いて、私はすぐに世界観ができました。男の子が片思いをしていて、振り向いてほしいけど振り向いてくれない、という印象をデモ音源から感じたんですよね。それで、絶対に良い曲が出来る、と思って。そのときに動物占いがパッと浮かんで、そこにベンガル猫があったなと思って書いていたんですけど、後で聞いたら、どうやらベンガルは動物占いにはなかったようです(笑)。でも、そこでもう〈愛しのベンガル・ガール〉というフレーズが出てきて、ベンガル猫は確かこういう性格だったなというのを書いていったんです。それで、絶対この曲はラブソングがいいと思って、そこから広げていきました。猫を女の子に例えた歌は数あれど、「ベンガル・ガール」はないんじゃないかなと思います。私はいつも新しい曲ばかりを求めてきていますけど、こういう感じの曲はあまりなかったので、この曲も大好きです。「Oh!ベンガル・ガール」は最高のポップスが出来ました」
── 「私の瞳は黒い色」という曲は、YUKIさんがこれまでも書いてきた、シンプルなメロディの歌ものに仕上がっています。
YUKI「この曲のアレンジは、初めてリトル・クリーチャーズの鈴木正人さんにお願いしました。この曲は仮歌の段階で、もう〈私の瞳は黒い色 / くせっ毛で まとまらない髪質は悩み〉と歌っていて、サビまで出来ていました。弾き語りのデモ音源はギター1本で、すごく素直なメロディだったので、デモ音源からメロディは変えていないですね。すごく豪華な、金原千恵子さんのストリングスチームのサウンドも入っています」
── すごく美しいサビのメロディですね。
YUKI「私は大サビの前がすごく好きで、〈もう一度 会えるのなら / 素直に ありがとう 言えるのに〉のところからが好きです。そこの間奏がすごくよく出来ていて。〈私が小さいままなら / 小さな ただの家族でいられた〉という部分では、私が小さい頃を思い出していますね。ちょっと昔に戻っているというか」
── これは子どもの頃の、お母さんとの思い出を歌っているんですか?
YUKI「両親ですね。両親からもらったものを描いています。家族はいつからか自立していって、一緒に暮らすことがなくなる。そうなると、もうあの小さい家族ではないというか。そういうことはずっと思っていて、いつか描きたいと思っていたんです」
── 聴いていて、懐かしい気持ちになるというか、あったかい気持ちになります。
YUKI「両親の、嫌だなと思っていたところばかりが本当に似るんですよね。私は、体が母にそっくりで、手とか足の指とか、筋肉のつき方とかそっくりで、時々本当に母を見ているような気持ちになるんです。顔もどんどん似てきて。昔はそれが嫌だなと思っていたこともあったんですけど、それは親からもらったものなんだなと思って。そういう気持ちを描きました」
── 「私の瞳は黒い色」というのは、印象的なタイトルですよね。
YUKI「タイトルはいろいろ考えたんですけど、やっぱり歌い出しの〈私の瞳は黒い色〉が面白いなと思って。もしラジオで流れたら、その1行目の歌詞を聴いただけで、「それでそれで?」「そこからどうなるの?」と、すごく気になると思うんです。この曲はまさにそういう、一語一句聞き取れる曲ですね。そういう意味でも4拍子でミディアムな聴きやすい曲になっています。私はこういう曲をいつも作ってきていて、それがいつもアルバムのキモになっていくというか。今回もそういう曲を作りたいと思っていたので良かったです。」
── 最後は〈黒い瞳は 黒いまま〉なんですね。
YUKI「そうですね。やっぱり私は“変わらない”ということですね。やっぱり、頑張って変わろう変わろうと思って、ちょっとずつですけどね。ま、昨日よりは今日かなと思ってきましたけど。やっぱり両親からもらったものはそのままだなと思いますね」
── そして、次の「どんどん君を好きになる」。これもシンプルで素敵な曲です。
YUKI「作曲・編曲していただいた、きなみうみさんは、今回初めてお願いする方でした。すごく若いチームで、ホーン隊もみんな若いチームだったんですけど、すごく仕事の質が良くて、速くて。デキる人はやっぱり仕事が速いですね」
── 一緒にレコーディングスタジオに入って作業されたんですか?
YUKI「そうですね。この歌詞は、最初は「風の時代」という仮タイトルで書き始めて、水瓶座の曲だったんです(笑)。一昨年ぐらいから、水瓶座には追い風が吹いて、ここから400年続く“風の時代”だと言われていて、ファッション誌でもそういう特集が多かったんです。それで、「風の時代」で1曲作ってみようかなと思って。でも、書いていてもなかなかうまくいかなくて(笑)。彼らとスタジオに入ったときは、まだ「風の時代」だったと思います」
── そうなんですね。
YUKI「風の時代? これは一体何のことを歌っているのだろうかと困惑したと思います(笑)。ただ、歌詞や曲の方向性というのはアレンジに差し支えるので、オケ録りをしているときに、方向性を決めなくてはと思って。それでずっと歌っていたら、これはラブソングになるぞと思って、こういう歌詞に変わっていきました。そこで「どんどん君を好きになる」というワードが出てきたので、それを演者の皆さんに伝えて。春先の蕾のように恋が生まれていく歌ですね」
── ホーンもすごく歌詞に寄り添っていて。この曲は、1番と2番のメロディが少し変わっていたり、メロディがすごく変速的ですよね。
YUKI「そこは私が作りました。1番と2番はデモでは同じだったんですけど、歌入れで詩を書いているときに、“こういうメロディが思い浮かんじゃった”というときがあって。それをそのまま歌いました。もし作曲者が“それはちょっと”となるようだったら、また戻そうと思ったんですけど、すごく気に入ってくれたので、そのまま歌いました」
── レコーディング中にそういうメロディが出てきたんですか?
YUKI「家で作業しているときに歌っていて出てきました。レコーディングの前は、家で歌ってみて、歌詞のノリとかを確認するんですけど、レコーディングスタジオに行って、実際にヘッドホンを付けて、オケに合わせて歌ってみると、何か違う、というときがあるんです。だから、何パターンか作っていって、録音しておいて、それをスタジオで試すこともあります。この曲もそうですね。この曲も何パターンかあったんですけど、一番ハマったのがこれでした」
── 曲の歌詞からもサウンドからも、恋している感じが溢れ出ていて、すごくハッピーな気持ちになります。
YUKI「これからの2人なんです。よく、2人にしかわからない言葉があるじゃないですか。そういうものを描きたかったんです」
── あれ、なんでしょうね。不思議ですよね。
YUKI「なんか、おたまに名前をつけたり、「ちょっとジョン取って」みたいな。“あ、おたまのこと、ジョンって言うんだな、この2人は”みたいな(笑)」
── そして、ここから「Dreamin’」に続きます。「Dreamin’」は、オルガンとホーンからスタートというのが、さらに恋している感じを盛り上げてくれているようです。
YUKI「〈どんどん君を好きになる〉で終わって、次の曲も〈だいすき〉で終わるのが、すごく良いなと思って。この2曲は“大好き”繋がり&ホーン繋がりですね。この2曲はホーンがすごく目立つ、ホーンがサウンドの主役の曲なので、ここに並べてみました」
── この「Dreamin’」は、銀杏BOYZの峯田和伸さんの作詞・作曲です。いつも歌詞はYUKIさんが書かれていますが、今回、なぜ峯田さんにお願いすることになったんですか?
YUKI「私は歌の中でいろいろな主人公になるのが好きで、そういう物語性のあるポップスをたくさん歌ってきたんですけど、でもそこに透けて見える自分というのは、やっぱりいるわけで。どうやっても出てくるそれが私の個性であり、人間力なのだとしたら、もうそこがなくならない限りは何を歌ってもいいんじゃないかと思ったんです。どういう歌を歌っても大丈夫だ、と。その区切りがこの20年でわかったので、これを機に、人の歌詞も歌ってみようと思いました」
── それで峯田さんに、曲も歌詞もお願いしてみよう、と。
YUKI「以前、ゲストボーカルで呼んでいただいたり、『きれいなひとりぼっちたち』という銀杏BOYZのトリビュート・アルバムで、「漂流教室」をカバーさせていただいたことがあって。一度、曲を作っていただきたいとお願いするのはいいなと以前から思っていて、お声がけしたのが一昨年です。曲も歌詞も全て作っていただきたいというお話をしたら快諾してくださって。そこから何度かお会いして、楽曲の方向性やキーを決めたりしていきました。キーを合わせるときにスタジオに入ったんですけど、その時にギターを持ってきてもらって、私が歌いました。まだそのときは仮の歌詞だったんですけど、もうこの曲があって。編曲は山本幹宗くんで、銀杏BOYZやくるりのサポートメンバーとしてギターを弾いてこられた方です。ベースはくるりの佐藤(征史)さんが弾いてくれました。幹宗くんは、クタクタになるまで頑張ってくれて、「今年一番の大仕事が終わってよかったです」と言ってくれました。そのぐらいすごいプレッシャーだったみたいです」
── YUKIさんからは、どういう楽曲にしてほしいというようなリクエストはされたんですか?
YUKI「やっぱり峯田くんの一番いいところというか、すごく青い、春を感じるラブソングで、ちょっとキラキラしているけど切なくて。そういうのが峯田くんの曲の良いところだと思うので、そういう曲で、私が今歌うのなら、ということでお願いしました」
── 最初にデモ音源のこの曲を聴いたときは、どんな感想でしたか?
YUKI「峯田くん節だなと思いました。そのときはまだ歌詞がついていない状態でしたけど、やっぱり声がずるいですね。一緒に歌ったときもそうでしたけど、デモを聴いたときも、やっぱり声がすごく良いんだなと思って。ボーカリストというのは、こういうことだよなと思いました。歌がうまいとか音程がよく取れるということだけでなく、声の感じとか、こういうワード1個ずつ拾っても、そこにはやっぱり峯田くん節があるんだなと思います」
── 歌入れはいかがでしたか? 久しぶりに人の歌詞を歌うというのは。
YUKI「峯田くんの歌を聴いていたので、峯田くんが歌ったほうがいいのではと思いながら、やっぱり人の歌詞は難しいなと思いながら歌いました。でも、そういう経験も久しぶりだったので、すごく楽しく歌えました。メロディはなるべく峯田くんが歌っている感情をそのまま忠実に表現したいと思っていたので、かなり譜割は峯田くんのデモのまま歌っています。だから難しかったですね。でも、すごく新鮮でした」
── 本当に可愛い歌で、きゅんきゅんが止まらないです。
YUKI「最後の「だいすき」の連呼は、峯田くんのデモ音源には入っていなかったんですけど、歌っているうちに私が思いついて、最後に「だいすき!」と叫んだら、すごく面白くなってしまって、そのまま使いました。これは「どんどん君を好きになる」から続く、大好きシリーズです」
── 曲が完成して、峯田さんは何か言われていましたか?
YUKI「“最高の曲になって、最高の気分です”というメッセージをいただきました」
── そして、ガラリと変わって、「It’s 盟友」という、打ち込みの曲です。歌詞は、盟友のことを歌っているんですね。
YUKI「この曲は、聴いたときに「戦友」とか「盟友」という言葉が出てきて。高校生ぐらいから今に至るまでのいろいろな人たちが思い浮かんで、それで描いていきました。同志とか仲間とか、同じ目的を持って切磋琢磨する友というのは、すごく良いなと思って。それで「It’s 盟友」になりました」
── そこに「It’s」がつくのがYUKIさんだな、と。
YUKI「普通は「盟友」でいいですよね(笑)。〈君は盟友〉〈つまり戦友〉というのは、歌詞を考えているときに口をついて出てきた歌詞なんですけど、それが偶然にも面白い韻の踏み方になっていて、自分でもびっくりしました。」
── すごく気持ちいいメロディで、歌詞が言葉遊びのように楽しく跳ねている感じですが、ちゃんとストーリーがあるというか、ドラマが浮かんでくるというか。
YUKI「最初に聴いたとき、“このメロディ、最高に面白い”と思って。これはもう面白い歌詞しか思い浮かばないと思って、〈噂の的 的外れ 仲間外れにも何度かなって / ヤブレカブレ それじゃまるで 似たような者同志の巣窟〉という歌詞が出てきました。ここまで出てきたら、もうこっちのものですね(笑)。私の中ではこういうスケープゴート的な、学校や社会でのそういう仲間外れのこととかは以前も歌ったことがあって、私の中にも忘れない経験としてあるんです。15歳、16歳の頃というのは半分大人で、いろいろなことを吸収する時期で、あの頃のことはずっと私の中で忘れることはないですね」
── 学生の頃も思い出しつつ、今の仕事仲間のことも浮かびつつ。
YUKI「私の短大のときの友達や一緒に東京に出てきたけど田舎に帰った友達のこと、恋人のこともちょっと入っていますね。今、どうしているかわからないけれど、元気でいてほしいですね」
── YUKIさんの学生時代の光景が思い浮かぶような歌詞でもありますね。大切な友達のことを歌っているんだなって。
YUKI「やっぱり味方でいてくれる人がいるというのは心強いですよね。信じられるというのは、すごいことだと思うんです。私が一番気に入っているのは〈本当の孤独を 君は知ってた〉という部分です。ひとりぼっちをわかっているというか、認めている。だからこそ、1人より2人になると強くなるとか、仲良くできるとか。本当の孤独を誰かでは埋められないということを知っていないと、人と付き合ったり、仲良くしたりできないということを、もうあなたは知っていたよね、ということを言いたくて。高校生のとき、いつも私のそばにいてくれた友達は、お金持ちで、家にお手伝いさんが何人もいたけど、自分は母親に愛されていないと思っていて。不良だったんですけど、すごく優しくて、友達思いで、秘密主義で。彼女とは今でも友達ですけど、そういう信頼できる、いい秘密主義というか。私はそういう人が好きなんですよね。それは私がそうではないからというのもあるんですけど(笑)。私はすぐに心を開いてしまう。人を信じやすいというのは私の良いところでもあると思うんですけど」
── ここの歌詞は、ずっとYUKIさんが思っていた言葉なんですね。
YUKI「こういったことは歌詞で書いたことがないと思うので、これは書けてよかったと思います。“孤独”は“寂しさ”とは違う。それが今なら私もわかりますし、こうやって言葉に出せるんですけど、若い頃は寂しさをなんとかしようとして泥沼化する。そういうことを10代、20代で勉強するんです。私はそういうことを理解するのに時間がすごくかかったほうだと思いますけど、彼女はそうではなかったなと思って。だから強いんだと思います。それは私にないところで、すごくうらやましいなと思っていましたね」
── 次の「Naked」もまた打ち込みですが。頭とサビ終わりに出てくる印象的なコーラスが耳に残ります。
YUKI「あのコーラスが入れたかったんです(笑)」
── 意気揚々と歌うYUKIさんの姿が見えるようです。この曲は、早くライブで聴きたいなと思いました。
YUKI「ライブはすごく盛り上がると思います。〈Naked〉のところは、みんなにも歌ってほしいですね。「Naked」は音粒も良くて、自分でもびっくりするぐらいです。キラッキラです。これはヘッドホンで聴いてほしいぐらい、すごく気持ちのよい音になっています。元々素晴らしい音であがってきたんですけど、ブラッシュアップされて、ミックスでさらに良くなりました」
── 歌詞には最初から〈Naked〉というワードが入っていたんですか?
YUKI「デモでは〈Naked〉とは言っていませんでしたけど、コーラスは入っていて。これは絶対に生かしたいと思いました。『forme』というアルバムを出したとき、私は変幻自在で、曲によっていろいろな人になって、いろいろな形になって、色々なフォルムがあるんだと、とにかく形にこだわって作ったアルバムでした。この曲は、その2023年版という感じです」
── 「Naked」というのは、「ありのまま」というような意味ですが、この歌詞ではどういうことを言いたかったんですか?
YUKI「自分が着飾ったり、メイクをしたり、自分がこうありたい、こうなりたい、というようなことはもちろんお洋服とかでも表現できるんですど、そうではなくて、自分の身体を使っていろいろなことができるんです。私は喉が生楽器なので、私の身体で勝負するという歌にしようと思いました。この、〈隠せない嘘も 流す涙も / あなたになる Naked〉というところが、この歌で私が言いたいところです。自分の身体は、自分の思う通りにできるんです。中身も、食べ物や口に入れるもので変えていける。昨今、ボディポジティブというのが叫ばれていて、どんな身体でも愛せばいいじゃないということが言われていますけど、まさにそういうことを歌っていますね。どんな姿でもどんな顔をしていても、どんなに歳を取っても、どんなふうに太っても痩せても、どうなっても私のことが好きって言えるの? という歌です。身体はただの入れ物だけど、中身は自分次第でどうにでも変えられる。自分の好きな自分になれるんです。私はお洋服がすごく好きなんですけど、それより自分の身体のほうが自信があるんです。まだまだ踊れるし、まだまだ山登りもできる。鍛えている自分の身体があれば、誰かを助けてあげることもできるんです」
── 今回のアルバムは、全てにYUKIさんの“最新”が詰まっていますね。
YUKI「最新であり、回顧的なところもありますよね。特に意識はしていなかったんですけど。ただ、昨年はツアーを本当に全力でやっていたので、本当にそのときの気持ちが入っていると思います。20周年のお祭りであるツアーが始まる前と後とでは全く心が変わりました」
── それはどういうふうに変わったんですか?
YUKI「今まで、新しいものを作っていくことのほうが好きすぎて、自分の過去の曲がどうとか、振り返ることをあまりしてこなかったと思うんです。でも今回、周年のツアーで回って歌ったからこそ、わかったというか。最初は、20周年の感謝の気持ちを込めて、皆さんに「ありがとう」を言いに行くぞ、絶対きちんと終わらせるぞと思ってやっていたんですけど、途中から、自分を振り返るということが“今”になるんだということに気づいたんです。それはすごく新鮮な感情でした。20年間の自分を振り返り、こういう曲を作って、こういうふうに歌ってきたんだなということを各地のライブで何度も歌っていくたびに感じるというか。だから今回はツアーを回っていて、気持ちが全く変わりましたね。こうやって、20年やってきた自分を振り返ることができて、すごくよかったです。あと、継続してきちんとやってきたことをすごく誇りに思いましたし、そういうことって、こういう区切りがないと、なかなかわからないですよね。各地で喜んでくださるお客様が目の前で見られて、泣いているお客様もいらっしゃるんです。どこかの会場で、イントロが始まったらすぐに泣き崩れていらっしゃる方がいて。私はすごく驚いたんですけど、それを見て、私はすごいものを作ってきたんだなということがわかったんです。この20周年というものがそういうことにも気づかせてくれたと思います」
── そして、アルバムの最後は、現在のYUKIさんの心境が詰まった「鳴り響く限り」で終わります。
YUKI「この曲はアニメーションのオープニング曲なんですけど、お話をいただいたときは、まずは自分の20周年ということを一番に考えていて、リリースするのに20周年の第一弾となる曲なので、自分の決意表明のような曲をと思っていました。なので、アニメのオープニングのお話も、原作の漫画を読んで、もし私の思いと合わなかったらお断りしようと思っていたんです。でも、主人公と私がしっかり重なって、とても好きな曲に仕上がったので、これはアニメのオープニングとしても、私の20周年の最初を飾る楽曲としても出せるなと思いました。ツアーでは一番最後に歌っていたんですけど、歌うたびに、私はずっと変わり続けたいんだろうなと思うことがあって。こういう曲をコンサートの最後に歌えて、しかもそれで皆さんから、すごく楽しかったとか、笑顔で帰ったよと言われると、本当に20年間歌ってきて良かったなと思います」
── 初回生産限定盤のDISC-2には、ホールツアーの札幌公演の音源から7曲が収録されていて、ライブ音源を聴くことができます。
YUKI「この7曲はホールツアーだけで演奏した曲たちなので、スペシャルで入れました。アリーナに向けて、規模の違いや演出の違いということも含めて、メニューも変えたかったので、この曲たちはどうしてもアリーナのセットリストには入れられなくて。すごく気に入っている曲ばかりで、私はライブ音源も好きなので、この音源を特典として入れて、皆さんに聴いてもらうことができて、すごく嬉しいです」
── アルバム・ジャケットは、さまざまな色の衣装に包まれたYUKIさんが印象的です。
YUKI「映像作家の平野絢士さんにアルバム・ジャケットのアートディレクションをお願いしたんですけど、彼がこの『パレードが続くなら』というタイトルから思い浮かぶアイデアをいろいろ出してくれて、それがすごく素敵だったんです。そのひとつに、デザインなど色を扱う業界の方が使うカラーホイールというのがあって、それは色彩のグラデーションが円形に表されているものなんですけど、パレードが永遠に続いていくイメージで、音階を時計盤みたいに、C、C#、D、D#、Eというように円形に12個並べるんです。そこにカラーホイールを重ね合わせて、この「パレードが続くなら」で使われているコードの構成音やメロディラインの音階をカラーホイールで見てみると、こういう色の分布になるんです。その色をこのジャケットに使ってくれて。これが「パレードが続くなら」のコードの色なんだと思ったら、すごく素敵だなと思って。このジャケットもすごく気に入っています」
── このアルバムで20周年のお祭りは終わりますが、この先、何か見えているものはありますか?
YUKI「11枚目のこのアルバムで一区切りというか、20周年も一区切りして、ここからはまた新しいフェーズに入りたいので、いろいろ吸収して、刺激を取り入れる時期にしたいなと思います。それでまた反動でいろいろと出てくると思うので、その私の中から出てきたものを、また歌にしていきたいですね。自分がやりたいと思うことに素直に、これからも自分を信じていきたいと思います」
Interview & Text by Kazue Yaguma